前回では、お店のコンセプトに一貫性を持たせそれを貫くこと、経営するにあたってのポジショニングをどのように設定するのかをお伝えしてきました。
あなたのお店だけの経営方針が見えてきたでしょうか?
今回のお話では、お客様にリピートしていただいたり、お友達を紹介していただいたりするまでのファンになっていただくにはどのようなことを実践していったら良いのか、そのヒントをお伝えしていきたいと思います。
「今までのサロンと違う」と言っていただけるサロンにするためのヒントにしていただけたらと思います。
新規にオープンして、いきなり予約が何ヶ月も先まで埋まってしまうサロンなど存在するのでしょうか?
そこには、スタッフの方たちの地道な努力が隠されているものです。
しかし、特別なことをたくさんやればいいというものでもありません。
「あたりまえ」の追求こそが、他社にはない魅力を生み出すための秘密なのです。
ここでは、その「あたりまえ」を3つご紹介していきましょう。
あたりまえの1つ目は、五感に響く空間づくりの徹底です。
前回でもお伝えしましたが、お客様が入ったお店を評価するのに使うのは、五感です。
行く度にレイアウトや雰囲気が変わるお店は、どことなく信用性に欠けるものです。
そこで一本、軸となるコンセプトを貫き通すことが重要になってくるのです。
何を売りにしているのか、どんなことで満足感を感じていただこうとしているのか、あなたのお店の「世界観」を作ってみてください。
これだけとっても、こだわっているお店からは世界観を十分に感じられそうですよね。
コンセプトを軸に考えていけば、きっと独自の世界観を作ることができるはずです。
あたりまえの2つ目は、カウンセリングを徹底的に行うこと。
美容室の主役は「お客様」であり、施術を行う美容師側ではありません。
お客様の要望通りに施術を行い、十分に満足していただくには十分にカウンセリングを行う必要があります。
ただし、重要なのは「会話」ではなく「対話」です。
「会話」は親しい者同士のただのおしゃべりです。
それに対して「対話」は、お互いの価値観をすり合わせるためのものです。
これらの事柄をカウンセリングで細かく聞き出すことこそがお客様が求めているものであり、「その後いかがでしょうか?」という心構えで接客することが大切なのです。
そして、あたりまえの3つ目は、継続的なデザインを徹底することです。
お客様は、美容室で施術をしてもらってそれで終わりではありません。
きれいにしてもらったその先には、日常生活があります。
そのため、その場だけのデザインでは意味がなく、日常の動きの中でもきれいが保たれている必要があるのです。
継続的なデザインをするという思考にしていくと、「こうデザインしたので、次の来店は○週間後がベストです」と提案がしやすくなるとともに、お客様の方も自ら予約を入れて帰っていただけるでしょう。
こうしたお客様に合わせた提案の継続が、何ヶ月先までもの予約が埋まることにつながっていくのです。
3つの「あたりまえ」をご紹介しましたが、美容師として基本的なことばかりだったかもしれません。
しかしその「あたりまえ」こそが、お客様が本当に求めていることであり、追求していくことでリピート率や紹介を増やしていくことにつながるのです。
お客様のことを考えて対話をしたり、デザインを提案することは、その方だけのオートクチュールメニューを作り上げること。
決して同じ提案にはならないという点も、魅力的ではないでしょうか?
あなたのお店でも「あたりまえ」を徹底的に追求し、お客様をファンにしていきましょう。
参考書籍:1年先まで予約が入る奇跡のサロン石井 孝治 著